建築基準法の内装制限一覧表
建築基準法の内装制限
◆建築基準法の内装制限を定める条文は、第35条の2です。
- (特殊建築物等の内装)
- 「第35条の2」では、次の4つの建築物を対象に定めている。
- ①特殊建築物(劇場類、ホテル、共同住宅類、百貨店類等)
- ②階数が3階以上、延べ1,000㎡をこえる建築物
- ③政令で定める窓その他の開口部の無い居室を有する建築物。
- ④調理室、浴室その他火を使用する設備を設けたもの。
「(中略)政令で定めるものは除き、政令で定めた技術的基準 に従ってその壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを防火上 支障がないようにしなければならない」と定めている。
内装制限一覧表
- ◆法に基づき施行令で規定された内容を解りやすく簡易な表にしたもの
- 特殊建築物を対象とした建築物を5つのグループに分けて制限
- 建築物の規模での制限
- 無窓(窓その他の開口部を有しない居室)の場合の制限
- 調理室等(火を使用する設備又は器具を設けた)の制限
- ⇒ 除外規定(スプリンクラー及び排煙設備を設けた部分には適用されない)
- 防火区画の規定
- ⇒ 内装を防火仕上げすることで、防火区画を広げる事ができる。
- (避難階段は不燃材料で仕上げる)
★適用が重複する場合は、制限の厳しい方が適用される。
内装制限一覧表
建築基準法施行令第128条の3の2、第129条及び第112条、第128条の3等 の内装制限に関する部分を要約一覧表としたもの。
※内装制限一覧表をクリックすると別画面で開きます。
建築基準法の内装制限(劇場・病院・百貨店等)
1.劇場・映画館・演芸場等の内装制限
- 1・2 階に映画館、3・4 階に事務所がある耐火建築物の概念図
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- ◆左図のような建物の各部は次の3つの内装制限を受けます。
- 1.映画館の部分は、一覧表1 の劇場・映画館等に設けられた制限
- ⇒居室の壁は難燃以上、天井は3階以上の階に居室があるので準不燃以上。
- 2.同映画館は、更に一覧表7の無窓の居室に設けられた制限
- ⇒居室の壁、天井とも準不燃以上。
- 3.建物全体には、一覧表6の建築物の規模に対して設けられた制限
- ⇒居室の壁、天井とも難燃以上。
- ※以上のように制限が重複してかかる場合は一覧表欄外③でうたっているように制限の厳しい方を適用しなければならない。
2.病院・ホテル・旅館、共同住宅等の内装制限
- 耐火建築物の共同住宅の概念図 (各戸とも規定採光窓はあるがスプリンクラーはない)
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- ◆左図のような建物の各部は次の2つの内装制限を受けます。
- 1.一覧表2の病院・ホテル・共同住宅等に設けられた次の制限。
- ⇒居室の壁は難燃、天井は3階以上の階に居室があるので準不燃。
- (但し、共同住宅は200㎡以内に防火区画された内部は除外される)
- 2.一覧表6の建築物の規模に対して設けられた次の制限
- ⇒居室の壁、天井とも難燃。
- (但し、一覧表6の除外規定で解るように地上からの高さ31m以下の部分には制限は適用されません)
- ※各戸の記号は次のように防火区画されています。
- A: 100㎡以内
B: 100㎡以内
C: 100㎡を超え200㎡以内
D: 200㎡を超え300㎡以内
【各戸の制限と材料の確認】
- Aは100㎡以内に防火区画なので一覧表2の除外規定が働くが、 31m以上にあるので一覧表6の制限を受け壁・天井とも難燃が必要。
- BとCはいずれも200㎡以内に防火区画なので一覧表2の除外規定が働く。
更に地上からの高さ31m以下の部分にあるので一覧表6の除外規定も働く。どの規定からみても制限は受けない。 - Dは200㎡を超える規模なので一覧表2の制限を受け居室の壁は難燃、
天井は3階以上の階に居室があるので準不燃に仕上げる必要がある。
一覧表6の制限は31m以下の部分なので除外されている。
3.百貨店・マーケット・展示会場等の内装制限
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- ◆左図のような建物は次の2つの制限を受けます。
- 1.建物全体では、一覧表6の建築物の規模に対して設けられた次の制限
- ⇒居室の壁・天井とも難燃。
- 2.地下部分は一覧表5の特殊建築物の用途の、居室が地下にある場合に設けられた次の制限
- ⇒居室の壁・天井とも準不燃。
- ※特殊建築物の百貨店、マーケット等に設けられた制限は、 一覧表3で見るように3階以上の部分が1,000㎡に達していないので適応されない。
- 左図は耐火建築物のマーケットの概念図(地上階は規定の採光窓があり、 各階とも排煙設備はあるがスプリンクラーはないものとする)
4.木造2階建て住宅の内装制限
- 木造2階建住宅
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- ◆木造2階建住宅では、「最上階以外の階に火を使う設備を設けた場合は、 その部分(その室が対象で当該室以外は対象外)を壁・天井ともに準不燃材料で仕上ること」という制限を受ける。 図のダイニング・キッチンは制限を受けるが、その他の室は制限を受けない。2階の浴室も最上階ですので制限の対象外。
- ◆調理室等の内装制限は、「主要構造部を耐火構造としたものを除き、 階数が2以上の住宅で最上階以外の階に火を使う設備若しくは器具を設けたもの」は壁・天井とも準不燃材料で仕上るように定めている。
- ※不燃材料で造った50cm以上のたれ壁区画したは場合は、 区画外は制限を受けない。又、「電磁誘導加熱式調理器(IH)」も該当しない。
防火材料に関する法令・基準
防火材料に関する法令・規則
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- ■不燃材料
- (建築基準法第2条第9号)
- 建築材料のうち、不燃性能(通常火災時における火熱により燃焼しないこととその他の政令で定める性能をいう) に関して政令で定める技術基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。
防火材料の技術的基準
- ■不燃材料等に必要な技術的基準
- 加熱開始後、次にあげる時間・要件を満たしている事
- ◆不燃材料(法第2条第9号、令第108条の2 )20分間
- ◆準不燃材料(令第1条第5号)10分間
- ◆難燃材料(令第1条第6号)5分間
- ①燃焼しないものであること。
- ②防火上有害な変型、溶融、亀裂その他損傷を生じないものであること。
- ③避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること。
認定番号の付け方
- ●個別認定での認定番号
- 不燃材料 NM○○○○
- Noncombustible Material = 燃えにくい材料
- 準不燃材料 QM○○○○
- Quasi Noncombustible Material = 類似(準)の燃えにくい材料
- 難燃材料 RM○○○○
- Fire Retardant Material = 火を遅らせる材料
下地基材について
防火壁装材料の下地基材
- ★防火壁装材料の下地基材は、 国土交通省が法令等により定めた「法定不燃材料」並びに「法定準不燃材料」に限られます。
- ★具体的には、法定不燃材料は国土交通省告示第1400号に、 法定準不燃材料は国土交通省告示第1401号に、それぞれ示されたもののうち、壁紙の下地として使用されるものを指します。
- ※防火材料には告示で定められた下地の他、 「国土交通大臣が認めた不燃材料又は準不燃材料等」があるが、これらを壁紙の下地基材とした場合は、個々に性能確認が必要となり、 「防火施工管理ラベル」による性能表示はできない。根拠は、自主管理規定の「防火壁装材料の標準施工法」に基づいている。
- 財団法人建築行政情報センター URL=http://www.icba.or.jp/
壁紙として使用される代表的な下地基材
- 不燃材料
- ◆ケイ酸カルシウム板(厚さ5mm以上の繊維混入のもの)
- ◆モルタル
- ◆せっこうボード(厚さが12mm以上、ボード用原紙の厚さが0.6mm以下のも
- 準不燃材料
- ◆せっこうボード(厚さが9mm以上、ボード用原紙の厚さが0.6mm以下のもの)
- 難燃材料
- ◆難燃合板で厚さが5.5mm以上のもの
- 不燃材料
ケイ酸カルシウム板
(厚さ5mm以上繊維混入) - 石膏ボードには、不燃と準不燃の石膏ボードがあります。(厚みの違いに注意が必要)
- ◆石膏ボードとは、
石膏を芯材として両面をボード用原紙で被覆し、板状に成形したもの。 原料の石膏は、天然に産出するせっこうと火力発電所等から発生する排煙脱硫せっこう等が使用されています。 せっこう被覆しているボード用原紙は新聞、雑誌等の回収古紙から製造されており、森林資源の枯渇防止にも役立っています。
壁紙の種類・製品表示ラベル
壁紙の種類(防火壁装材料の技術的基準)
- ◆平成14年6月1日の法改正により防火材料の認定は性能に基づき
行われるようになったため、同じ品種の、つまり、外見は同じ素材に見える壁紙でも異なる性能に認定される壁紙が出現するようになり
個々の認定確認が不可欠になっております。
そこで認定を受けた壁紙を日本壁装協会が「壁紙品質情報管理システム登録商品の技術基準」として分類しています。
- ①紙系壁紙
- 紙(普通紙・難燃紙・紙布)を主素材とする壁紙。
但し、表面化粧層にプラスチックを20g/㎡以上使用したものを除く。 - ②繊維系壁紙
- セルロース系繊維、化学繊維を主素材とした壁紙。
動物性繊維織物を主素材とする壁紙(シルク壁紙) - ③塩化ビニル樹脂系壁紙
- 塩化ビニル樹脂を主素材、又は表面化粧層に塩化ビニル樹脂を20g/㎡以上使用している壁紙。
- ④プラスチック系壁紙
- EVA樹脂・アクリル樹脂等、塩化ビニル樹脂を除くプラスチックを主素材とする壁紙。
- ⑤無機質系壁紙
- 無機質を主素材とする壁紙。
但し、表面化粧層にプラスチックを20g/㎡以上使用したものを除く。 - ⑥その他
- 特有の施工方法による壁紙。(例)どんす張り、現場塗装壁紙。
- その他、上記5種に該当しないもの。
壁紙の梱包に付ける表示(製品表示ラベル)
- ◆工場から出荷時に、包装面に貼付されるラベル。
認定条件に適応している事を保証するラベル。
- 【新JIS製品様式】
- 【大臣認定製品様式】
施工管理ラベルの表示方法
施工管理ラベルの表示方法
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- ◆ラベルは、認定品の1種類1区分
(1室)ごとに2ヵ所以上表示する
ことになっています。(右図) -
区 分 壁 1区分:2枚 天井 1区分:2枚 - ラベル表示は同じ下地に同じ壁紙を張った場合でも、天井、壁それぞれに2ヵ所ずつラベルを貼って表示する事になります。
- ◆ラベルは、認定品の1種類1区分
- ◆1区分内に同じ防火性能の数種類の壁紙を張り合わせた場合は、最も広い面積を占める壁紙の認定番号で代表する事が出来ます。
この場合、申請書には使用した全ての壁紙メーカー名、品番認定番号、使用量を記載して下さい。使用した全ての壁紙を併記し、 記録が正しく残るようにします。
1区分内に、防火性能が異なる数種類の壁紙を張り合わせた場合は、最も下級の防火性能の壁紙の認定番号で表示して下さい。
- ◆1区分内に防火壁装材でない壁紙を併用した場合は、その区分にはラベル表示ができません。
- ◆ラベルは防火仕上げの上に貼付けしますが、位置については特に決まりはありません。
- ◆認定条件に適合しない仕上げに表示することはできません。
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- ◆1区分内に防火性能が異なる下地基材が使用されているものに、下地との組み合わせによって 防火性能が異なる壁紙を張った場合は区分全体を下級の防火性能の下地とみなして表示します。
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- ◆1区分内に、非防火材料など、防火壁装材と張り合わせて防火材料に認定されない下地基材が用いられている場合は、その区分にはラベル表示ができません。